お客様との別れ その2

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    あおなは、実母と同居している。

    母は認知症で、認知症のおもな症状の一つに、被害妄想がある。

    女性は「お金をとられた。」、男性は「妻が浮気をしている。」という妄想を抱きやすいそうだ。

    あおなの母親は、週1回、○○病院へ通院している。

    たまたま、お客様の柿本さんも同じ病院へ通院している。



    あおなは、1年以上柿本さんのお宅にうかがっていたが、急にヘルパー交代になることになった。



    柿本さん夫「さっき、上司さんから電話ありましたよ。

    ヘルパーさん、交代なんですね。」

    あおな「来週から○○ヘルパーがうかがいます。」

    柿本さん夫「あおなさん、昨日○○病院に来てましたね。」

    あおな「あっ! 

    私、気がつきませんでした。

    申し訳ありませんでした。」

    柿本さん夫「いやいや・・・。

    お母さんの車いす押してましたね。」

    柿本さん妻「お母さん、具合どうなの?」

    あおな「それが・・・。

    母、このごろお金を私が盗ったっていうんですよ。

    こういう仕事してるので、認知症の知識が持ててよかったです。

    そうでなかったら、腹がたってしまうでしょうね。」

    柿本さん夫妻「大変ね・・・。」



    作業終了後、

    柿本さん妻「ハンカチ用意したから、受け取って。

    あおなさん、ピンクがお好きだから、ピンクにしたわ。

    あおなさんは、お母さまの介護をよくやっていらっしゃるから、必ず将来幸せになれるわ。」



    ホームヘルパーは、お客様からものをもらってはならない。

    研修でたたきこまれる。

    でも、この時、あおなはハンカチを受け取った。

    そして、

    (ここは、本来なら泣く場面だな。

    泣くふりをしなければならない。)

    と思った。

    ところが、本当に涙が出てきたのだ。

    あおな(泣きながら)「ありがとうございます。」



    数日後、気がついた。

    上司さんが、「断りにくいですよね。」というのは、このことを言うのではないかと。

    あおなは、きちんと仕事をしている。

    でも、他のヘルパーとは違うのではないか?

    他のヘルパーは、ヘルパー交代に際し泣いたり、物を差し出されたら、断れないような人間関係までも構築しているのではないか?





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