小谷野敦さんは、「グンはバスでウプサラへ行く」(文学界9月号、p.102)という小説の中で、人間を3種類に分けている。
1.人間関係において豊かである者。
2.人間関係において豊かでなく、そこから抜け出したいとあがく者。(自己を客観視できている。)
3.人間関係において豊かでなく、「学生時代は、あまり人とも話さないような感じで、熱心に勉強していて、立派な学者になったりする者」(p.122)。(自己を客観視できている。)
小谷野敦さんは、あおなのような人間もいることを見逃している。
4.人間関係において豊かでなく、自己の客観視もできない者。
あおなが講師をしていた○○県の小学校に、東○大学卒の学校事務職員高尾さんがいた。
高尾さんが東○卒と知ったとき、あおなはとても驚いた。
東○出身者は、官僚になったり、大企業に就職したりするのかと思っていたからだ。
なんで田んぼに囲まれた小学校の事務職員になったのだろう。
高尾さんは、3種類目の人間だったのだろう。
自分が、人づきあいが苦手で、プライドが高いこと。
大学院へ進学しても、学者になれる可能性は低いこと。
そういうことがよくわかっていたのだろう。
高尾さんは、3人いた非常勤講師のうち2人から、とても嫌われていた。
「
教員の性格は、用務員や学校給食の職員が一番よく知っている。」といわれる。
上司である校長、教頭にはみんないい顔をするからだ。
立場が低く、1年ごとに勤務先が変わる非常勤職員にも、誰も気をつかわない。
たぶん高尾さんには意地悪なところがあったのではないか。
そして、あおな以外の非常勤講師は、それを感じとれたのだろう。
あおなはぼんやり者だから、高尾さんの性格に気づけなかったのだろう。
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